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自宅サロンの税務署への開業届や確定申告

2019年8月23日
自宅サロンの税務署への開業届や確定申告

自宅サロンを開業するには税務署への 開業届 は必要なの?
いくらから 収入の申告 が必要なの?

自宅サロンを開業する際の税務署への届出や開業してからの申告について気にされている方がたくさんいらっしゃいます。

税務署って聞くと何か難しそうなイメージがありますよね。
そのためか自宅サロンを開業した時の税務署への届出などについて難しそうと思われている方も多いのではないでしょうか。

ここでは自宅サロンを開業する場合の税務署への開業届や確定申告について解説していきます。

開業届は絶対に必要なの?

自宅サロンを開業する時には「 開業届 」を税務署に提出しなければいけないと書かれているサイトがたくさんあります。
ちなみに「開業届」とは、正しくは「 個人事業の開業・廃業等届出書 」と言います。

実はこの開業届は提出を忘れていたり、提出しなかったからといっても特に罰則などはありません。
開業届は開業日から1ヶ月以内に納税地を管轄する税務署に提出する決まりになっていますが、提出が遅れても特に支障はないのです。

では、開業届は必ず提出しなければいけないのでしょうか?

自宅サロンの場合には半年程度売上の様子を見てから開業届を提出するかどうか判断すればよい

具体的には、オープン当初はどのくらいのお客さまが来店してくれるかもわかりませんので、オープンから半年程度は開業届を出さずに営業してみて、毎月継続して売上がでるようになり年間を通して利益が見込めるようになってから開業届を出すかどうか判断すればよいと思います。

これが私の個人的な見解です。
実際に開業届を出さずに自宅サロンを営業されているオーナーさまもたくさんいらっしゃいます。

そもそも開業届を提出する判断基準は、その事業が 事業的規模 かどうかなのです。
しかし、どこからが事業的規模に該当するのか、その明確な判断基準は定められていません。
結論としては「 継続的に事業を行い、継続的に収入が発生する場合 」には開業届を提出する必要があるという認識でよいと思います。

では、店舗を構えずにお客さまからの予約が入った時にだけ営業をする自宅サロンは事業的規模に該当するでしょうか?
月の来店者数が数名で売上が2、3万円程度ならばそれは事業的規模とは言えませんよね。
これが月の来店者数が10名以上で、売上が8万円以上、年間を通して100万円となれば事業的規模と言えますよね。
この場合には材料費や光熱費などの経費を差し引いても利益が出るはずです。
いくら以上の売上が事業的規模に該当するといったような明確な基準は決められていませんが、一般的に考えてそれが事業と言えるかどうかで開業届の提出を判断すればよいと思います。 ただし、ある程度の利益が出た時に開業届を出していることで受けられる税制上のメリットがありますので、毎月継続して利益が見込めるようになったならば必ず開業届は提出するようにしましょう。 ※ある程度の利益については「確定申告が必要な場合」で詳しく解説しています。

開業届は税務署に「事業を始めました」と宣言するだけのものです。
開業届を出していないからといって事業ができないわけではありません。
開業届は開業日から1ヶ月以内に納税地を管轄する税務署に提出する決まりになっていますが、提出が遅れても罰則があるわけではありません。

開業届を提出するメリット

開業届を出していることによって受けられるメリットがあります。
そのメリットとは、ずばり 節税効果 です。

節税効果とは?

節税効果とは利益が出たときに確定申告で納めなければならない税金を少なくすることができるものです。
利益がたくさん出ればそれだけ納税する金額も増えるわけですが、開業届を出していることで納税額を少なくすることができます。
税金は利益(課税所得)に対して課税されます。
収入(売上) - 経費(材料費や光熱費、交通費など) = 所得となり、この所得から各種控除を差し引いた額が課税の対象として計算される利益になるのですが、節税効果により控除の金額を増やすことができるため、結果として課税対象の利益を少なくすることができ税金を下げることができます。

自宅サロンを開業していて利益が出たら確定申告をして税金を納めなければなりません。
たまに勘違いをしている人がいますが、 確定申告と開業届は全く別のもの なので注意してください。
確定申告は「開業届を出している、出していない」に関わらず一定額以上の利益が出た場合には必ず必要です。
一定額以上の利益が出ているにも関わらず確定申告せずに納税しないことは 脱税 になります。 ※一定額以上の利益については「確定申告が必要な場合」で詳しく解説しています。

それでは開業届を出した場合のメリットを見ていきましょう。

メリットその1

青色申告で確定申告ができる

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2つの申告方法がありますが、開業届を出していると節税効果の高い青色申告をすることができます。
青色申告をするためには税務署に「 所得税の青色申告承認申請書 」の提出が必要です。
開業届を提出していないと原則青色申告の申請ができません。

青色申告特別控除

所得から65万円または10万円の所得控除を受けることができます。つまり、課税対象となる金額から65万円を差し引くことができるので、結果として課税対象となる金額を抑えることができ節税できます。

損失(赤字)の繰越し

損失(赤字)を出した場合、翌年(から最長3年間)に赤字を繰り越して計上することができます。翌年は利益が出た分から赤字分を差し引くことができます。

専従者給与

配偶者やお子さん(15才以上)に事業を手伝わせて給料を払うことで給料分を経費に計上することができるので非常に節税効果があります。納税地の所轄税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。

メリットその2

屋号で銀行口座が作れる

自宅サロンの名前(屋号)で銀行口座を作ることができます。

※屋号を自宅サロンの名称で届出している場合には、自宅サロン名で銀行口座を作ることができます。
屋号は必ずつけなければいけないものではありません。開業届には屋号の記入欄がありますが空欄で提出しても問題はありません。
後から屋号をつけたい場合には確定申告時に屋号を記入すればいいので開業届提出後でも構いません。

青色申告の申請期限に注意

確定申告で青色申告をするためには税務署へ「 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書) 」と「 所得税の青色申告承認申請書 」の提出が必要ですが、「 所得税の青色申告承認申請書 」の提出時期には注意しなければなりません。

青色申告したい年の3月15日までに提出が必要です。 確定申告は1年間の会計結果を翌年の2月16日から3月15日までの間に申告することになっています。
例えば、2018年(平成30年)の確定申告期間は、2018年2月16日~3月15日となっており、この期間内に2017年1年間分の会計結果を税務署へ確定申告する必要があります。
この2017年分の確定申告を青色申告でするには2017年3月15日までに「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要になります。
つまり、2017年分の確定申告は2018年2月16日~3月15日までですが、青色申告の申請は2017年3月15日までに提出が必要ということです。 「所得税の青色申告承認申請書」は青色申告で確定申告をしたい年の3月15日までに提出しなければなりません。 2017年3月15日を過ぎてから「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出した場合には来年からの適用となってしまいます。
ただし、新規開業の場合には「開業した日から2ヶ月以内」に提出すれば3月15日を過ぎていても、その年の分から青色申告をすることができます。

開業手続きに便利な無料サービス

個人事業主の開業に必要な開業届・青色申告承認申請書など各種書類が無料で一括作成できる便利なサービスを紹介します。

まとめ

開業届は開業日から1ヶ月以内に納税地を管轄する税務署に提出する決まりになっていますが、提出が遅れても罰則があるわけではありません。
開業届を出すことで受けられるメリットは 節税効果のある青色申告で確定申告をすることができる ことです。
ただし、青色申告はある程度の利益が出た時に受けられるメリットですので、売上や利益がない時にはあまり意味がありません。
そのため、開業から半年程度は開業届を出さずに営業してみて、毎月継続して売上がでるようになり年間を通して利益が出るように見込めたら開業届を提出すればよいと思います。
仮に年の途中でその年の利益(黒字)が見込めるようになり、その時に青色申告の申請期限を過ぎていたとしても、その年の確定申告は白色申告ですれば問題ありません。
白色申告でもサービスに使う材料は仕入れとして計上できますし、もちろん光熱費や交通費なども経費として認められます。
青色申告にある各種控除は受けることができませんが、年の途中から利益が見込めるようになった場合には年間を通してそこまで大きな利益はでないことが多いので、その年の分の確定申告を白色申告でしても大きな納税額にならないことがほとんどです。

開業当初からお客さまの来店が見込まれる場合(勤務先からの独立などでお客さまを引っぱってくる場合など)には、開業と同時に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」と「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出することをおすすめします。

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